こんにちわ、 chappie です。先日、kmt によるエントリーもありましたが、私も 6/24 に開催されたスクラム道バーストにいってきました。
あまり他社さんがスクラムをどのように実践しているかといったことを知る機会は少ないので、とても刺激になりました。今回のイベントは、壇上に上がってしゃべる人を「選手」、議論を傍聴する人を「観客」として分け、立場に応じた「距離感」で参加できることで敷居を下げていたのがよかったです。私も今回はじめての参加だったので、「とりあえず観客で」といった感じで、見学させていただきました。
イベントの雰囲気は
などから感じていただくとして、当日あった議論とはあんまり関係ないですが、このエントリーでは私が今いるチームでの取り組みとして、アナログ回帰による改善のはなしを紹介したいと思います。
私達のチームでの問題
今のチームは、かれこれ半年以上、だいたい同じメンバーで開発に取り組んでいました。1ヶ月を1スプリントとして、
- 月のはじめに計画ミーティング&見積り
- 日々のスタンドアップミーティング
- 週次での成果物レビュー
- 月末でのスプリントレビュー&デモ
など、基本的にスクラムのプロセスにのっとって活動し、月ごとの成果もそれなりには出ていました。
ただ、以下のような問題がありました。
- 毎月、いまいち当初の予定(見積り)よりも完了できるストーリーの量が少ない
- そのため、中長期的にみるとプロジェクト期間がどんどん伸びていく
- しかもいまいち原因がよく分からない
- 遊んでるわけではなさそうだけど、デイリーの進捗がいまいちお互いによく分からない
アナログ回帰
当然、原因はいろいろあって単純ではないのですが、まずは日々何が起きているのか認識&共有ができていないとはじまりません。
そこで今回、スクラムをはじめた当初やりかけたけどやめてしまっていたアナログ版タスクボードを復活させました。
月初の見積りの段階から、今月のストーリーも、前月の積み残しも、その時点で対応することが決まっているバグも、すべて付箋に書き出し、見積り後はそのままホワイトボードに貼りつけました。
未着手 > 処理中 > Done!
右側にストーリーやバグやタスクなどが概ね優先度順に並んでいて、開発/QA が処理中のものが真ん中に移動してきて、終わったものは右側に移動させます。基本的に、スクラムで説明される一般的なタスクボードのフォーマットを踏襲しています。右側の Done のところがカレンダーになってて、終わった日付に終わったタスクを貼ってるとこが若干オリジナルでしょうか。
付箋のサイズと色
大きいサイズの付箋はストーリーなど基本的に見積り対象となる粒度の項目で、小さいものがその中でのタスクといった感じになってます。ポイントの小さいものは大きい付箋がそのままタスクになってたりします。また、オレンジはビジネスアナリスト(的役割の人)からの懸念事項や、ピンクが臨時、緊急のものといった感じで、なんとなくルールができていきつつあります。
あまりこのあたりは厳格なルールは強いてなくて、忘れないようにしたいことや、進捗を示すためにタスク用付箋をはったりしてます。スクラム道バーストでも「適切なタスクのサイズとは?」みたいな議論があり、どなかが「スタンドアップミーティングで話す1項目が大体1タスクと思っていい」といったことをおっしゃってたと思いますが、我々のタスクボードでも実際そうなっているので同感です。
日々の記録とバーンダウンチャート
タスクボードの状況は一応、撮影して残すようにしています。また、バーンダウンチャートは単純に貼る場所がなかったので、ポイントを Google Docs のスプレッドシートに記録して、こちらはデジタルで見られるようにしています。
タスクボードの動き
ちなみに、月毎のタスクボードをアニメーションにしてみるとこんな感じです。
、、、と思ったら アニメーションGIFがアップできない。。。何故。
しょうがないので、外部サイトにとりあえずアップ。(後で変えるかもしれません)
なんとなく、チームのダイナミズムが見えるような気がしますかね?
かなーり雑然としているあたり、チームの性格が出てるようです。。。
あと、ホワイトボードがあんまりホワイトじゃなくて汚くみえるのは予算がなくてお下がりのホワイトボードしかもらえなかったからです。。。広くて大きいホワイトボードほしい!むしろ、壁全体ホワイトボードにしたい!内装とか別におしゃれじゃなくてもいいから!
従来との違い
・・・閑話休題。
従来、スタンドアップミーティングは大体毎日やっていたのですが、特に何も見ずに、各人が口頭でやったこと、やることをなんとなく話してふわふわっと終了してました。
タスク管理には以前からヌーラボさんのバックログを使っていて、これはこれで素晴らしいツールなのですが、個々人が自分のタスクを管理するためだけのツールになっていました。これはおそらく使い方の問題で、スプリントのはじめにだれが何やるってが割り振ってしまい、自分で自分の範囲のタスクを洗いだして登録し、あとは自分が「担当者」のタスクしか見なくなっていました。
チーム全体の状況を俯瞰するにはタスクレベルだと見づらいし、バーンダウンチャートでは大まかすぎて、結果、スタンドアップミーティングで見ることもありませんでした。
この、「何も見るものがないスタンドアップミーティング」が日々の進捗が分かりにくい原因のひとつだったと思います。
タスクボードを使うようになってからは、各メンバーがここの付箋を移動させながらやったこと、やることを話すようになりました。処理中のものと同時に、当月で何が残っているかも見えるので、デイリーの情報とスプリントの情報がいっぺんに見られます。
懸念事項もとりあえずはここに貼るので、「そういやあの問題ってどうなったんだっけ?」って気づいたら誰も何も対応してなかった、みたいなことも極力減らせます。
まとめ的なもの
アナログ版タスクボードを使い始めてから2ヶ月=2スプリントほど経過しましたが、個人的には
- チームとしてタスクに向きあう姿勢がでてきた
- 消化できるストーリーポイント数への意識が高まった
- 残タスクや臨時タスクをなるべく減らしたり、コントロール可能にしようとする議論ができるようになってきた
といった効果を感じています。
チームとして改善サイクルを回していかなければアジャイル開発プロセスの良い点は発揮されません。まだまだ課題も多いですが、その解決に向けた足がかりができたのは大きな前進だと思っています。
タスク管理ツールは使ってるけど、なんとなくチームとして問題に取り組んでる感がなくなってきたり、スプリントを繰り返すうちに締まりが悪くなってきたりしてる、、、と感じたときは、原点に帰るつもりでアナログ回帰し、手触りのあるツールを介したコミュニケーションで活性化することもあるので、オススメです。
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余談1
ちなみに、バーンダウンチャートの中盤でグッと残時間が減ってる点は、弊社のリリースプロセスが反映されています。現在のプロセスでは基本的に、当月開発したものを翌月の第4週にリリースするようになっています。これは主に、ユーザや事業部へのアナウンスおよび調整のための期間が必要なためです。
そうすると、大体のところは当月中に開発するのですが、細かいテストや統合レベルのテストや自動テストの作成など、終盤になりがちなタスクが次の月にずれ込むことで「負債」となってしまいます。にもかかわらず、月初には新しいストーリーの見積りを立てて次のスプリントがはじまります。
このあたりのギャップと、その存在と大きさがはっきり見えていないことが、なんとなく締まりの悪さ、1ヶ月のスケジュールの見通しの立てにくさにつながっていたんだろうと思われます。このあたりもバーンダウンとタスクボードの進捗具合で見える化&共有されてきたので、今後のプロセス改善に活かしていきたいところです。
余談2
実は、付箋のサイズの区別は意図したものではなくて、ふつうのサイズの10セット入りと思って頼んだら小さいサイズだったという 7500円の誤発注 によって導入されたものでした。